2022 BRM625もてぎ600(時計まわり)を走ってきた ~ 灼熱と強風を添えて ~ - PC3 - PC4

すっかり暑さにやられて頭痛がひどくなってきたあやぴー。どうにかこうにかオアシス(PC3)に辿り着いたものの、この先に待ち受けるのは不動峠道祖神峠という峠たち。果たして生きて次のPCに辿り着けるのか…。

というわけで前回までの話はこちら。

bicycle-ayato-p.hateblo.jp

PC3 ファミリーマートつくば桜金田店 - PC4 セブンイレブン茂木バイパス

結局PC3を出たのは13時ちょっと前。ここまで150km弱走ってきて思ったのは「陰がない」こと。一瞬たりとも影に入らないので全然休まらない。時間帯的に仕方ないところはあるんですが、アップダウンはあるもののほぼほぼThe平野みたいなところを走っているから影になりやすいものがないというのも手伝って、結果影がないところを延々走ることになってしまっている。これは過酷…。

なにはともあれ田んぼに囲まれたこのあたりは平坦(影がない!!)なので、少しスピードが出せた。そしてついに相見える不動峠。距離にして4km弱、270m程度のアップ。平均勾配は7%前後。元気ならたいしたことがない何の変哲もない峠道。そう、問題は「元気ならたいしたことがない」のであって、この時点で全然元気がないどころか、頭痛がひどいし、ジリジリ元気な太陽に焼かれて疲労がたまっている中で、峠突入はきつい。

突入してしばらくは「なんとかいけそう…か?」と思っていたけど、速攻で諦めた。インナーローで無理やり登る消極的戦略に切り替えてじっくり登っていく。やけに時間が長く感じる。コーナーごとに出てくる親切設計の残りコーナー数表示が「まだ全然先は長い」と精神的に追い打ちをかけてくる。

暑い…真っ昼間で太陽が一番元気な時間帯なのもあるけど、不動峠には木陰が全然ない。蒸し暑さの中登っているとときおり道のそばから水の音が聴こえる。おそらく水が湧いているのだろう。水が湧いていて汲めるようになっているなら今すぐにでも自転車を降りて頭を突っ込みたい衝動に駆られながらゆっくり登る。降りたい…降りたい…押したい…歩きたい…もう少し…。今にも止まりそうな速度で、精神力だけで登る。

この頃、頭痛以外にも手のひらにも異常が出始めていた。季節的に仕方ないけど、グローブが汗や水によって濡れ続けていたせいで、手の皮がふやけてきていた。そのせいかハンドルを握る手が痛い。

どうにかこうにか不動峠を登りきった。とりあえず記念的に写真を撮る。そういえば、今回余裕がなさすぎて写真が全然ない。特に1日目。

写真のデータを見ると撮ったのは13:55。PC3から16km程度で1時間程度かかっていた様子。登りきったは良いけど疲れ切っているので、少し一休みする。心拍も上がりっぱなしで息も絶え絶えという死に体。気を取り直してリスタート。下りで回復しよう…と思ったのもつかの間、裏側の路面が荒れてて手に響く。嘘…。あまりの手の痛さに一度降りる。あと下りなのに全然風を感じなくて暑い。薄々と感じていたけど、サイクルキャップが熱の放出を邪魔している気がしたので、このタイミングで脱ぐ。キャップは頭皮を直射日光から守る意味でもあったほうがいいと思っていたんだけど、この炎天下で水をかけていると熱気がこもる原因になっていた様子。

サイクルキャップを脱いで、水を被って気合を入れて下ることにした。頭に風が入ってきて少しだけ頭痛が和らいだ。手は痛いけど、我慢する。頑張れ、私。どうにか峠を下りきった。また大きな道にでる。フルーツラインという可愛い名前の道路だけど、実際は冷酷無比なだだっ広い道路。PC3を後にしてからそんなに時間が経っていないけど、頭から冷たい水をかぶりまくりたい気持ちだった。途中走りながら民家に突撃して外の水道貸してくれませんか?って言ったら貸してくれないかな…などと考えるほどに暑さに参っていた。

途中で通りすぎたあとに思ったけど、いばらきフラワーパークという施設があって、ああいう施設なら外に公衆トイレがあって水道借りれたのではー…とか考えたりした。相当疲れていた。相変わらず道路に起伏があってアップしたりダウンしたりする。少し飲み物が心許なくなってきたし甘いものが飲みたかったので、途中にあった自販機を使おうと思ったんだけど、何故か手持ちの小銭の半分が入れたそばから排出されるという…。お金飲まれるよりはマシだけど。悪戦苦闘していたら、後ろからきたランドヌールに追い越されたので、コンビニに行くまで我慢することにした。

しばらく進むとセイコーマートがあらわれた。しかし、お店の立地のせいかヤンチャな方々が多数いらっしゃったので、このお店はスキップすることにした。それにしても広大な田畑と広い道路、そしてセイコーマート。ここはもしかして北海道なのでは…すごく暑いけど…(※茨城です)。

事前に調べた限りだと不動峠から道祖神峠までの間にはいくつかコンビニがあったはず。しばらく進むとセイコーマートを見つけた。セイコーマート石岡宇治会店。少しお腹が空いていたので一旦食べ物などを調達することにする。

ルートひいてるときにセイコーマートの存在に気付いていたから、セイコーマートに立ち寄ることがあればセイコーマートぽいものを買って食べようと思っていたのに、疲れ切っていた私にそんな余裕もなし。買ったものをお店の影に入ってすべて流し込む。ドクペはもちろん振って炭酸を抜いた。私に抜けない炭酸はない。

お店の影には私以外にも地元サイクリストが休んでいたり、バイクに乗ったカップルが楽しそうに過ごしていたけど、私はこのあとどうするかしか頭になかった。このまま走って大丈夫なのか?走れるのか?成田まで行けるのか?そんなことばかり考える。

もう一度店内に入って冷凍の麦茶を2本購入。時刻は14:55。熱中症について調べてとりあえず脇に挟んでみたり、手で握ってみたりした。少し休んで元気が出てきたのでリスタートすることにした。

暑い。アームカバー、レッグカバーを持ってこなかったことを後悔しながら走る。暑い。耳が焼けるのを感じる。日焼け止めは持っていたし、腕や脚には塗ったけど、顔や首は全く塗ってなかった。経験上、耳が日焼けして痛くなることがなかったのもある。朝見かけたランドヌール/ランドヌーズはみんなアームカバー、レッグカバーをつけてたな…あれはやっぱり先人の知恵なんだな…と後悔しながら走る。

3kmと走らずに道祖神峠に突入した。ここも不動峠とコースプロファイル的には大差なく、距離3.5km、約255m程度のアップ、平均勾配は8.5%程度の小さい峠。そう小さいはず…なんだけど全然踏めない。インナーローにしているのに踏めない。熱中症なのか、燃料不足なのか。堪らず自転車を降りた。3kmって自転車を押し歩いたらどんだけかかるんだろう?分からない。分からないけど、先に進む以外に選択肢はないので押し歩く。

太陽がジリジリと耳を焦がす。暑い。サイコンに表示されている心拍計が押し歩いているにも関わらず150bpmを叩き出している。息もあがったまま。少しずつ峠の一番上に近づいてはいるんだけど、本当に少しずつ。DNFの文字が脳裏をよぎる。今すぐ来た道を引き返してDNFしたら楽になれるんじゃないか。そんなことを考えてしまう。自転車を押していると、4人ほどのランドヌールが通り過ぎていく。あの人たちと同じように走れない今、この先に進んで完走できるのだろうか。心は折れてたけど、不思議と前には進んでいた。

少し斜面がゆるくなってきたところで、自転車に乗りなおす。どうにか進んで文字通り峠を越えた。今回は立ち止まりたくなかったので、そのまま下っていく。しばらく下っていると手足が痺れるような違和感を覚えた。道端に見えたわずかな木陰に避難する。頭痛が収まらないのに加えて、吐きそうな気持ち悪さも追加されててどうしようもない。スマホで改めて調べなくても熱中症だなーと思った。幸い凍っていたペットボトルを2本持っていたので、グローブを外して握りしめる。進もうにも進めないので、その場に立ち尽くす。文字通り立ち往生。通り過ぎていくランドヌールを数人見送る。

これは流石にDNFするか…。スマホGoogle Mapを見るとPC4の20km程度手前のセブンイレブン笠間来栖店まであと5kmほど走ると到着するらしいことがわかった。DNFするにしても笠間駅から輪行しないといけないし、とりあえずあと5km走ろう。少し頭痛が収まったのを見計らって、手足の異常がないことも確認して、ゆっくり走ることにした。

どうにかセブンイレブン笠間来栖店に到着した。時刻は16:22。買い物をする。

  • 冷凍麦茶500ml
  • カルピスソルティレモン
  • 水2L
  • ラムネバー(美味しそうだった…)

お店の裏手しか影ができてなかったので、裏手まで歩いていって休憩する。頭に水をかけて、ペットボトルを脇に挟んで身体を冷やす。このあたりでようやく全体の1/3にあたる200km地点だった。アイスを食べながら考える。DNFするのか。200km走っただけなのにDNF…?本当に…?何のために袖ヶ浦まできて前泊したの?こんなにボロボロになってるんだから仕方ないよね?きっと他の人もDNFしてるよね?色んな想いが駆け巡りDNFするか逡巡する。しばらくして出した答えが…。

日陰から出て自転車に戻るとランドヌールが沢山いた。もう私はDNFするんだ。そう思いながらも、他の人に暑いですねーと話しかけていた。「今日どこまで行くんですかー?」と何気なく聞いてみたら「今日…というか、とりあえず400km地点付近にある健康ランドまで走ろうかと」「え、それ何時に到着する予定なんですか?」「朝5時くらい。そのくらいだと安くなってるんだよねw」思いもよらぬ答えが返ってきた。すごい。確かにこれだけ暑いし、夜間に距離を稼いで朝方少し仮眠してから出発するのも悪くないよな…。

もうひとり別の人にも話かけてみる。「DNFしようと思ってて…」プーさんのジャージを着ていた人は「熱中症?足に力が入らなくなったらおしまいだよ」と言ってくれた。気遣ってくれての発言だったと思うんだけど、私は真逆の意味で受け取ってしまった、「足…力入るな…」。よし、もう少しだけ頑張ってみよう1。PC4まで20kmしかないし、幸か不幸かDNFするか悩んでいる間に身体も回復した上に、太陽が傾いてくれたおかげで先程までと比べると暑さがずいぶんと和らいだ。

そんなこんなで前言撤回。水をボトルに詰め替えて、準備をして走り始めることができた。どうせあと20km。とりあえず20km。最悪1.5hもあればPCに辿り着けるはず。走り始めて思いの外、足がしっかりまわるので安心した。弱気になっていたのが嘘のよう。

少し登っていくと栃木県があらわれた。千葉と茨城を走るだけだと思っていたんだけど、もてぎってそうか栃木か!とここで納得。

あとは淡々と走っていく。幸いここからは下り基調だったのも手伝って楽に走ることができた。というわけでPC4に到着。AJ千葉のスタッフさんに名前を聞かれる。今までになかったパターンなのでよく分からないけど、参加者がちゃんと走れているかの確認なのかな。

PC4, セブンイレブン茂木バイパス店, 18:00着, 216km地点。グロス18.78km/hでここまで来たことになる。想像以上にまだ走れることが分かったので、今日はもうDNFしないことに決めた。350km地点の成田まで走り切る。残り約135km。まだ慌てる時間じゃない!

そうと決まればここでやることはただひとつ。しっかり食事を摂る。というわけで色々買った。

  • カツ丼
  • BIGポークフランク(これ好き)
  • チョコオールドファッション(これも好き)

残り135kmを走り切るにはエネルギー不足に陥らないことが肝要だと考えて、とりあえず食べることに。ちなみに胃腸の強さにはそれなりに自信がある。

車止めに腰を預けてご飯を食べていると、続々と参加者が入ってくる。カッコいいクロモリに乗ったランドヌーズが入ってきたり2、男女ペアで一緒に走ってる参加者も入ってきて、私がグロッキーなのに対して元気ありそうだったので凄いなと思った。

ご飯を食べ終えて諸々ゴミを捨てて、再スタートを切ることができた。成田まで残り135km、日中の暑さが和らぐ代わりに近付いてきた夕闇。夜間走行が苦手なあやぴーの運命やいかに…。


  1. 笠間駅というのが輪行して袖ヶ浦に戻るには超絶不便だったのも、先へ進むことを後押しする要因ではあった

  2. 後日、凪子さんだと判明する